こんにちは、技術の鈴原です。シールやラベルを発注するには「タック紙」の理解を深めて頂き、用途にあった材質や粘着を選定していただく必要があります。これからシール・ラベルの注文を検討されている方のお役に立てれば光栄です。
(※このページは2019年7月16日に更新されました)
1、 タック紙について
タック紙とは、裏面に粘着剤が塗布されているシールの材料を指します。つまり、ラベル・シール・ステッカーの印刷用素材、それがタック紙です。タック紙は上から「表面基材」「粘着剤」「剥離紙」の3層で構成されています。
・表面基材(直接印刷を施す部分)
・粘着剤 (糊部分)
・剥離紙 (糊を保護している台紙、使用の際に捨てる部分)
2、紙とフィルムで選べます
タック紙の表面基材は、大きく分けて「紙素材」と「フィルム素材」の2種類に絞られます。この2種類を、目的やシーンによって使い分ける必要があり、タック紙を理解する上で重要なポイントとなるので覚えておくと良いでしょう。
・紙素材 (耐久性・耐水性に欠けるが、紙本来のもつ質感が人気)
・フィルム素材(耐久性・耐水性に優れている。フィルムにしかない特殊な素材もある)
また、タック紙は商品やデザインによっても選定されています。
(例)紙:和菓子なので紙本来の質感を活かした「和紙」に箔押しを使用したい。
(例)フィルム:屋外で5年以上は使用したいので耐久性の高いPETを使用したい。
というように、目的や環境に適したタック紙を選定することが必要です。
3、紙とフィルムのメリット・デメリット
紙素材とフィルム素材の向き不向きを理解するのも重要です。耐久性だけでなく、デザインや加工との相性もあるので参考にして頂ければ幸いです。
・紙素材
メリット:質感のバリエーションが多いのでデザインの一部として活用出来る。箔押しやエンボスとの相性も良く、フィルムに比べ価格も安い。
デメリット:紙なので屋外や水回りでの使用に向いていない、破けてしまうので綺麗に剥がれない。
・フィルム素材
メリット:耐久性があるので屋外でも水回りでも使用できるため、工業系シールやステッカーに適している。
デメリット:無機質なので紙素材のような表情が無い、反発する力があるのでエンボスとの相性が良くない。紙に比べるとコストがかかる。
4、選べる粘着力
粘着も使用目的に合わせて選定することが可能です。多くの場合、「一般粘着」もしくは「強粘着」をご利用いただいています。最近では、最終的に剥がすことも視野に入れている傾向があり、「弱粘着」や「強粘再剥離」といった粘着も人気があります。
タック紙の粘着の種類は、以下のようになっております。
・一般粘着(一般的な粘着)
・強粘着(一般粘着より強粘着)
・超強粘着(強粘着よりさらに強い粘着)
・粗面用(コンクリートにも添付可能)
・弱粘着(粘着度が弱く剥がしやすい粘着)
・微粘着(付箋レベルの粘着)
・強粘再剥離(シッカリ貼れて、綺麗に剥離可能)
・冷蔵用(冷蔵庫用の粘着)
・冷凍用(氷点下でも凍らない粘着)
・ハム用(冷蔵用のデコボコした面にも添付可能)
・タイヤ用(貼り付きにくいタイヤ用粘着)
このようにタック紙の粘着タイプは、使用環境に合わせた選定が可能です。
もし、上記にない場合、特注で粘着を製作する事も可能です。
詳しい粘着に関しては御社の業務に最適なシールの粘着タイプを一挙公開を参照してください。
5、セパレーター(剥離紙:はくりし)の選定
セパレーター(剥離紙)は、糊を保護している紙のことです。シールの使用時に、剥がして処分される部分です。セパレーター(セパレート)を日本語にすると「分離」を意味しています。
このセパレーターには「クラフトセパレーター」と「グラシンセパレーター」の2種類があります。こちらも用途によって、下記のように使い分ける必要があります。
・クラフトセパレーター(厚口)
クラフトセパレーターは、厚口の剥離紙を意味しており、手貼りのラベルやステッカーに適しています。
シート仕上げ、断裁仕上がりであればクラフトセパレーターが適しています。
・グラシンセパレーター(薄口)
グラシンセパレーターは、薄口の剥離紙を意味しています。薄口のためラベラー(ラベル自動貼り機)に最適です。ロール仕上がりにしてもらうことを忘れないようにしましょう。余談ですが、ラベルを量産する場合はラベラーをおすすめします。ラベルを手作業で1枚1枚貼付するよりも遥かに効率的です。
6、タック紙のサンプルは無料で入手可能
タック紙のサンプルは、シール・ラベル印刷会社にサンプル依頼をすると、無料で手に入れることが出来ます。まずはシール印刷会社に、問い合わせてみるといいでしょう。使用目的を伝えると、適したタック紙を手配してくれます。
もちろん弊社でも対応可能です。当日の出荷も可能ですので、お気軽に申しつけ下さい。
余談ですが、弊社タック紙の取扱メーカーは下記になります。エンドユーザー様からメーカーご指定の場合はご相談ください。
7、サンプル依頼の際に
シール・ラベル印刷会社は、お客様のニーズに適したタック紙と粘着の提案をするために、必ず把握させていただくのが「使用目的」。質感・耐久性・コスト・品質など、ご希望が多々あると思います。是非、遠慮せずに細かいところまで希望を伝えてください。
タック紙の提案もシール印刷会社のお仕事です。
また、SDSやRoHSといった化学物質調査の対応も行なっております。特定有害物質の使用制限が厳しいのは印刷会社も理解しています。タック紙メーカー各社、既に調査済みのため、すぐに手配が可能です。ぜひご利用ください。
まとめ
・タック紙は3層構造
・紙素材とフィルム素材がある
・使用目的にあわせて粘着を選定する
・セパレーターを選定する
・サンプルは無料で手配できる
以上がタック紙の解説になります。ラベル・シール・ステッカー発注の際に留意すべき点を、確認頂ければ幸いです。まずは難しく考えず、無料サンプルを手配してみましょう。
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