凸版印刷とは?特徴やメリット、オフセット印刷との違いを解説

凸版印刷 とは

凸版印刷は、凹凸のある版の凸部分にインクをつけて刷る印刷方法です。シール印刷業界では最もポピュラーで、海外ではレタープレスと呼ばれています。他の印刷方法と比べてコストを抑えつつ、鮮明に刷れるのが強みです。

先に結論を書くと、シール・ラベル制作の95%は凸版印刷で足ります。

商品ラベルやシールの制作を考えている方に向けて、ほかの印刷方法との違いと向き不向きを書きました。後半には、当社が凸版印刷で制作した例も載せています。

当社はシール専門の印刷会社で、凸版印刷をはじめ複数の印刷方法に対応しています。商品ラベルやシールの制作でご不明な点があれば、お問い合わせください。

目次

凸版印刷とは?仕組みや特徴も解説

印刷機を操作する作業員
凸版印刷機を操作する作業員

凸版印刷(とっぱんいんさつ)とは、版の突出した部分(凸部)にインクを塗り、その部分を紙などの印刷素材に転写する方法です。シール印刷業界では主流の方式です。

凸版印刷の仕組み

スタンプと同じ原理です。版は、刷りたい文字や図柄の部分が突き出し、刷らない部分が凹んでいます。突き出した凸部にインクを塗り、紙などに押し付けて転写します。

版の素材は、以前は亜鉛版などの金属が主でしたが、印刷機の発展にともない、現在は樹脂製が主流です。「樹脂凸版」と呼ばれることもあります。

凸版印刷の特徴

鮮明で、仕上がりが安定している。凸版印刷の特徴はこの2点で、イラストや文字を刷る商品ラベルに使いやすい方法です。

一方、グラデーションのような細かな再現性では、後ほど触れるオフセット印刷に及びません。ただ、極端に薄い色でなければ、凸版でもグラデーションは出せます。表現の仕組みは「アミ点」と呼ばれる小さな点の集まりで、点の大きさや密度を変えて色の濃さを作ります。

印刷版のアミ

・点が小さく、密度がない → 色が薄い
・点が大きく、密度がある → 色が濃い

凸版印刷の2つの種類

凸版には「平圧式」と「輪転式」があり、得意なデザインも向く数量も違います。どちらで刷るかは印刷会社が選定します。シールの印刷を計画するときの予備知識として読んでください。

種類1 平圧式

凸版印刷 平圧
凸版印刷 平圧

平圧式(へいあつしき)は、ロール紙をセットし、平面の版を紙にプレスして刷る方式です。面全体で押すので圧が均等にかかりにくく、印刷に若干のバラツキが出ることがあり、細工が必要です。

得意なのは、特色を使った単色のシンプルなデザイン。印圧を高くできて鮮明に刷れますが、濃淡の再現には向きません。印刷速度も速くないため、大量印刷より中・小ロットに合います。

機構はシンプルなのに、箔押しやエンボスの機能も付いています。昭和に広まった方式で、いまも広く使われています。オンデマンドと比べると、何倍も耐久性があります。

種類2 輪転式

凸版印刷 間欠輪転
凸版印刷 間欠輪転

輪転式(りんてんしき)は、回転する筒状の版を使います。筒状の金属製シリンダーの間にロール紙を通し、版をゴロンと転がして圧をかけながら刷る方式です。

版が転がって圧が均等にかかり、面積の広いデザインでも満遍なく刷れます。全面や広い範囲をインクで覆う「ベタ印刷」にも、精度の高い写真印刷にも向いています。面で押す平圧式では、同じ安定性を出すのが難しくなります。印刷速度も平圧より速く、大量印刷に向いています。

フルカラーの図柄が入るラベルなど、使われる場面の多い印刷機です。PANTONEやDICといった特色にも対応しています。

オフセット印刷との違い

同じ「版を使う印刷」でも、オフセット印刷の版には凹凸がありません(平版印刷)。凸の高さでインクをのせる凸版と違い、水と油が反発する性質を利用します。

版全体に水を塗ると、親水性のある非画線部には水が付き、親油性のある画線部は水をはじいてインキが付きます。少し難しく聞こえますが、ここは深く考えなくて構いません。覚えておくのは、非常に細かい部分まで再現でき、数ある印刷方法の中で最もキレイに刷れる方法だという一点です。

凸版・オフセット・オンデマンドとの違いを詳しく

シール印刷で主に使われるのは、凸版印刷、オフセット印刷、オンデマンド印刷の3種類です。違いを表にまとめました。

種類凸版印刷オフセット印刷オンデマンド印刷
シェア数シール印刷会社の85%が保有(設備費は普通)シール印刷会社の10%が保有(設備費が高い)シール印刷会社の5%が保有(ランニングコストが高い)
仕組み凸凹した版を使用し、凸部にインクをつけて紙などに転写する。アルミ製の平らな版を使用し、湿し水とインキ(油)が反撥する性質を利用し印刷する。インクジェットはノズルからインクを吹きかける。レーザーは静電気でトナーを転写させる。
特徴グラデーションに若干弱いグラデーションが可能グラデーションが可能
特色可能可能不可
コスト平均的な価格割高小ロットは安く、大ロットは高くなる(※最近は小ロットでも高い傾向あり)
納期お問い合わせくださいお問い合わせくださいお問い合わせください
こんな方にオススメ印刷は綺麗です。全ての商品にオススメ高解像度の写真が入っていたり、仕上がりに強いこだわりのある商品にオススメ機械によって印刷に違いがあります。個人消費、多品種小ロットの商品にオススメ

表を横に読むと、特色が使えないのはオンデマンドだけで、グラデーションに若干弱いのは凸版だけです。

オフセット印刷

凸版で対応しにくいグラデーションや細かい文字も、オフセットなら再現できます。版は凹凸のない平らなアルミ製で、インキをゴム製ローラーに転写してから紙に刷ります。短時間で大量に刷れ、色合わせの精度も高く、仕上がりの品質が期待できます。

主に書籍や雑誌、ポスターに使われる方法ですが、シール印刷でも使われています。当社もデザインに合わせて、凸版印刷とオフセット印刷を使い分けています。代わりにコストは凸版印刷より高く、納期については、お問い合わせください。

オフセット印刷については、以下の記事で詳しく解説しています。

オフセット印刷とは?仕組みやオンデマンド印刷との違い、適した印刷物まで解説

オンデマンド印刷

「インクジェットプリンター」や「レーザープリンター」のように、PCから指示を出して刷る印刷機がオンデマンド印刷です。シール印刷に登場したのは数年前からで、比較的新しい方法にあたります。インクジェットはノズルの先端からインクを噴射し、レーザーはトナー(粉末の顔料)を静電気で用紙に定着させます。

どちらもグラデーションは問題ありません。仕上がりはインクジェットよりレーザーのほうがキレイで、印刷スピードも、物理的にインクジェットは遅く、レーザーは速いです。

ただし、どちらも小ロット向きで、大ロットには向きません。理由は費用の構造にあります。オンデマンド以外の印刷機は、購入後に別途費用が発生しません。一方でオンデマンド印刷機は、購入後も「高額な年間保守料金」や「カウンター料金(使った分だけ支払う費用)」がかかるため、刷るほど費用が上がります。

オンデマンド印刷については、以下の記事で詳しく解説しています。

オンデマンド印刷とは?オフセット印刷との違いやメリット、注意点まで解説

グラデーションや細かい文字の入るデザインは、凸版のまま進めてよいか、見積もりの前に見ておきたい部分です。当社はラベルやシール専門の印刷会社で、デザインをご相談いただければ印刷方法をご提案します。

凸版印刷の2つのメリット

  1. 文字も鮮明に印刷できる
  2. コストが低い

メリット1 キレイに印刷できる

オフセットより若干劣ると聞くと引っかかりますが、通常のシール・ラベルであれば問題ありません。仕上がりの目安は、インクジェットより綺麗で、レーザープリンターと同等です。長年シール印刷業界で最も使われてきた方式で、幅広いデザインを刷れます。

特色印刷にも対応し、メタリックインクやニス、リオトーン(表面をザラザラさせるインク)も使えます。変わった仕様のシールを作りたい場合にも向いています。

メリット2 コストが低い

設備費もランニングコストも低く、印刷工程もシンプルで、オフセット印刷よりシール制作のコストを抑えられます。法人でシールを作り、予算を抑えたい場合は、凸版印刷が有力な選択肢です。

コストを抑える具体的な方法は、印刷会社の目線でまとめた下記の記事で解説しています。

シール印刷を格安に制作依頼する6つのポイントをご紹介

凸版印刷の2つのデメリット

凸版印刷機が稼働している様子
凸版印刷機

デメリットは、細かい表現とグラデーションの2点です。どちらも、デザインの内容によって影響の出方が変わります。

  1. 極めて小さい文字や細かな柄は不向き
  2. グラデーションが不得意

デメリット1 極めて小さい文字や細かい柄は不向き

画数の多い小さな文字や細かい柄は、圧力をかけて転写する過程で潰れる可能性があります。極めて細かな表現は不向きと考えてください。こうしたデザインが入る場合は、デザインの段階から印刷会社に相談しながら進めてください。

もうひとつ、紙に版の圧力をかける以上、フチに2重線がついてしまいます。「マージナル」と呼ばれる凸版印刷の特性で、絶対に避けられません。あまり目立ちませんが、稀に気にされるお客様がいらっしゃいます。どうしても避けたい場合は、オフセット印刷かオンデマンド印刷を指定してください。

デメリット2 グラデーションが不得意

凸版で出た見積もりが、データを入稿した途端にオフセットの金額へ変わることがあります。入稿データにグラデーションが含まれていると、オフセット印刷に変更する必要が出てきます。凸版印刷のグラデーションは色の変化が滑らかにならず、色が切り替わる境目が見えやすいためです。見積もりの段階でデータを添付しておけば、印刷方法の変更で見積もりが変わる事態を避けられます。

価格を重視して凸版印刷を選んでも、グラデーションが入ると、価格の高いオフセット印刷に変えざるを得ない場合があります。逆に、グラデーションにこだわりがなければ、凸版印刷のままで問題ありません。

※ただ、最近は版の性能が上がっていて、グラデーションの印刷精度がかなり向上しています。オフセット印刷と見違えるほど綺麗に仕上がるケースも散見されるので、グラデーションが苦手というのは過去の話になりつつあるようです。

凸版のままでよいのか、オフセットが必要になるのか、判断がつかない場合は、当社まで「お問い合わせ」ください。印刷方法をご提案します。

凸版印刷を使用した制作例を紹介

当社が凸版印刷で制作した3つの例です。素材と、エンボスなどの加工の有無がそれぞれ違います。商品ラベルやシールの仕様を考えるときの参考にしてください。

みなべクラフト 梅酒ラベル
制作例|みなべクラフト梅酒ラベル

素材は和紙コットンで、3色のカラーを使い、凸版印刷でラベルを制作しました。商品名は「Yii(イー)」で、梅酒らしくないポップなデザインが特徴です。

従来の梅酒のイメージを覆す、カラフルで楽しいラベルの詳細は、下記のページからご覧ください。

制作例|みなべクラフト梅酒ラベル

すみだ北斎美術館 ホログラムシール
制作事例|すみだ北斎美術館 特別展「北斎サムライ画伝」 ホログラムシール

すみだ北斎美術館 特別展「北斎サムライ画伝」のホログラムシールです。雪が舞う情景の中で、勇ましい侍が躍動しているように見えるデザインになっています。

素材は下の画像の「ホログラム NO.3」で、白・特色・黒の3色を凸版印刷で刷っています。

このシールの詳細は、事例ページにまとめています。

制作事例|すみだ北斎美術館 特別展「北斎サムライ画伝」 ホログラムシール

ブルーボトルコーヒー ラベル
制作事例|ブルーボトルコーヒー ラベル

ブルーボトルコーヒージャパン合同会社のパッケージラベルです。素材は上質紙で、サラサラとした触感が特徴です。3色の特色で凸版印刷を行い、そのあとエンボス加工で凸凹のデザインを施しました。

この事例の詳細は、下記のページをご覧ください。

制作事例|ブルーボトルコーヒー ラベル

コストダウンを求めつつ鮮明に印刷したいなら凸版印刷がおすすめ

凸版印刷は文字が鮮明に仕上がり、ほかの印刷方法より費用も抑えやすい方法です。予算を意識しながら制作したい場合に向いています。ただし、グラデーションや極めて細かな表現が中心のデザインでは、オフセット印刷への変更が必要になることがあります。

当社はシール専門の印刷会社として、凸版印刷や平版印刷、凹版印刷など、複数の印刷方法に対応しています。商品用のラベルやシールの制作をご希望の方は、下記からご相談ください。

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