法人向けステッカー制作ガイド
法人が制作するステッカーは、貼るためのものではなく「配る・目立たせる・印象を残す」ためのツールです。商品ラベルや管理用途とは異なり、販促ステッカーに求められるのは、見た瞬間のインパクト、ブランドイメージとの一致、配布しやすさ、コストと数量のバランスになります。
本記事では、販促・プロモーション用途に特化したステッカー制作について、発注担当者・企画担当者向けに実務目線で整理します。
法人がステッカーを使う主なシーン
販促ステッカーは、次のような場面で使われます。
- 展示会・イベントでの配布
- 店舗・ポップアップでのノベルティ
- ブランド認知向上のための配布物
- SNSキャンペーン用のオリジナルグッズ
- 商品購入特典
共通する目的は「手に取ってもらい、記憶に残すこと」。そのため、耐久性や法令よりも デザイン性と触感 が重視されます。
ステッカーのシールやラベルとの違い
そもそもステッカーとは、シールと同じく裏面に定着糊のついた印刷物全般を指す用語です。
英語の「くっつく」という意味のstickやstickerを語源としており、この言葉から「ステッカー」と呼ばれるようになりました。
似た用語であるシールやラベルとの明確な違いや定義はなく、混同されることも多くなっています。そこで、当社では用途別にそれぞれの違いを以下の表にまとめました。
| 用途 | シール | ラベル | ステッカー |
| 装飾・ギフト | ◎ | ○ | ○ |
| 表示・分類 | ◎ | ◎ | ○ |
| 封印 | ◎ | ○ | × |
| 屋外広告 | △ | × | ◎ |
| 車・バイクの装飾 | ○ | × | ◎ |
| 看板 | × | × | ◎ |
| 商品パッケージ | ◎ | ◎ | ○ |
| 食品表示 | △ | ◎ | × |
| 宛名表示 | ◎ | ◎ | × |
| 個人情報保護 | ◎ | ○ | × |
| ノベルティ | ○ | △ | ◎ |
それぞれの使い分けに困った際は、上記の表をぜひご活用ください。
さらに詳しく知りたいという方は以下の記事もご覧ください。
シール・ラベル・ステッカーの違いとは?特徴と使い分け方を解説
販促ステッカー制作で重要な3つの判断軸
販促ステッカー制作で重要な3つの判断軸
① 見た目(デザイン再現性)
- 発色の良さ
- 白の使い方
- ベタ面のムラ
- 細かい文字・線の再現性
販促ステッカーではデザインの再現性=ブランドイメージです。「安いけど仕上がりが粗い」は販促ツールとしては失敗になります。
② 触感と質感(第一印象)
人はステッカーを、見て、触って、剥がして評価します。
- マットかグロスか
- 少し厚みがあるか
- 安っぽくないか
触感は、想像以上に印象に残ります。
③ 配布前提のコスト設計
販促ステッカーは「1枚あたり」より 「総数」 が重要です。
- 100枚で高級感
- 1,000枚で拡散力
- 3,000枚でキャンペーン用
目的により適正な仕様とコストは大きく変わります。
販促ステッカーに使われる代表的な素材
ステッカーの用紙は、大きく分けて「紙素材」と「フィルム素材」の2種類があります。紙素材は水に弱く汚れやすい素材で、屋内に貼るステッカーに適しています。
一方、フィルム素材はプラスチックなどを加工して作られているため、耐水性や耐久性に優れています。そのため、屋外に貼るステッカーに適しています。
以下では、フィルム素材の中でも特にステッカー作りにおすすめの用紙を4種類紹介します。
- ユポ
- 塩ビ
- 透明ペット
- ホログラム
特徴や質感も紹介していますので、素材選びの参考にしてください
素材1 ユポ
ポリプロピレン樹脂から作られた合成紙です。耐久性・耐水性が優れているため、主に屋外や水回りで使用されています。
結露に強く、冷蔵や冷凍環境などの温度変化があってもシワになりにくい素材です。紙に似た質感でサラサラとした触り心地をしています。またユポは、安価でコストパフォーマンスに優れていることも特徴です。
ユポについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
素材2 塩ビ
塩ビは、耐久性と耐水性に優れた素材で、屋外仕様のステッカーに最適な用紙です。指触りはツルツルとしており、グロスタイプとマットタイプの2種類があります。
種類は「白塩ビ」「透明塩ビ」「色塩ビ」の3種類です。
| 白塩ビ | ・白色のフィルムにカラー印刷を施すタイプ |
| 透明塩ビ | ・直接カラー印刷するため、透け感のある仕上がり ・ステンドグラスのようなイメージ |
| 色塩ビ | ・黒、赤、青、黄、緑などのカラーフィルム素材 ・主に工業用の注意看板や表示用ステッカーとして利用 |
塩ビは、主に自動車やスノーボード、ヘルメットのステッカーなどに使用されています。
塩ビについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
素材3 透明ペット
透明ペットは、ポリエステルフィルムで作られた耐久性の高い用紙です。透明であるため、印刷部分以外は目立たず、すっきりとしたデザインを表現できます。
透明ペットは、透明のステッカー作成の際に用いられている素材です。種類はグロスタイプとマットタイプがあります。グロスタイプはツルツルとしており、マットタイプはサラサラとした指触りです。主な用途は、窓用ステッカーや透明感を活かしたステッカー制作に使用されています。
透明ペットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
透明ペットは耐久性の高いフィルム素材です。(見た目の黄色は台紙の色です)
素材4 ホログラム
ホログラムは、見る角度によって反射色が変化する素材の用紙です。アイキャッチ性に優れています。表面はツルツルとした滑らかな指触りです。
屋外で使用する際は、グロスラミネート加工を施すことで長持ちします。価格帯は、フィルム素材の中では高価格な部類に入る素材で、主にノベルティーステッカーや装飾性の高い商品ラベル、限定品のステッカーなどに使用されています。
ホログラムについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ステッカーの粘着の種類
ステッカーの糊には種類があり、使用用途に合わせた糊選びがポイントです。
下記に糊の種類と特徴をまとめました。特徴を理解して、糊選びの参考にしてください。
| 糊の種類 | 特徴 |
| 強粘着 | ・強力な粘着力があり、しっかりと貼り付けたいときに使用される ・永久性や長期的な貼り付けが必要な際に適している ・主に屋外に使用される |
| 一般粘着 | ・中程度の粘着力で、屋内や一時的な用途で使用される |
| 弱粘着 | ・粘着力が弱く、簡単に剥がせる |
| 再剥離 | ・貼った後に簡単に剥がせ、剥がした跡がほとんど残らない ・一定期間だけ貼りたいステッカーに最適 |
当社ではシール・ラベル専門の印刷会社として、様々なステッカーやシールを制作しています。お客様のご要望に合わせた最適な用紙や糊選びも提案していますので、お気軽に「お問い合わせ」ください。
サイズと形状の考え方(販促専用)
販促ステッカーでは、「貼りやすさ」より「持ち帰りやすさ」を優先します。
よく選ばれるサイズ感
- 名刺〜カードサイズ
- スマホケースに入る程度
- 角丸で安全・やさしい印象
形状の工夫
- 四角だけでなく、型抜きで印象を強める
- 形を作りすぎない(コスト増に注意)
配布数量が多いほど、形状はシンプルが有利です。
商品ステッカーの制作事例
ここでは自社で制作したステッカーの制作事例を紹介します。ステッカー制作の参考にしてください。
- 株式会社W&Rs様 ホログラムシール
- エクスプロージョン合同会社様 箔押しシール
- 株式会社ATC Store様 バイオマス素材を使用したノベルティシール
事例1 株式会社W&Rs様 ホログラムシール
株式会社W&Rs様のイベントの告知用ホログラムステッカーを制作しました。ロゴとフレームを赤くすることで、ホログラムの主張を控えめにしたデザインです。
素材は「ホログラムNo,1」と、糊は強粘着を使用しています。制作はまずは白色を印刷し、その上に赤色を印刷しました。背景は白色を印刷せず、赤い印象のホログラムを表現したステッカーです。
株式会社W&Rs様のホログラムステッカー制作事例について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
事例2 エクスプロージョン合同会社様 箔押しシール
次に紹介するのは、エクスプロージョン合同会社様のノベルティステッカーです。
背景はブラックを基調とし、ロゴ部分には2種類のマット金箔を施しています。素材はユポを使用し、ラミネート保護して屋外での使用もできるステッカーです。また糊は、強粘着糊を使用しており、しっかりと貼り付けられる仕様にしています。
エクスプロージョン合同会社様のノベルティステッカー制作事例について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
事例3 株式会社ATC Store様 バイオマス素材を使用したノベルティシール
株式会社ATC Store様のノベルティステッカーの制作事例です。
素材は、エコマリンタック(Eco Marine Tac)という、シール部分が自然に分解しやすいバイオプラスチックを使用しています。環境に優しい素材で、環境省の「海洋プラスチックごみ」問題解決への取り組みキャンペーン「プラスチックスマート」の登録製品です。特に、環境に関連する企業やエコ意識の高いキャンペーンでの使用に適した素材といえます。ただし、湿度により2%ほど縮小してしまうため、取り扱いには注意が必要です。
環境に優しい素材については、以下の記事でも紹介しています。
環境に優しい素材紹介ページ
株式会社ATC Store様のノベルティステッカー制作事例について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
制作事例|株式会社ATC Store バイオマス素材を使用したノベルティシール
ステッカーを作る際の注意点
最後にステッカーを制作する上での注意点を紹介します。
主な注意点は以下の3つです。
- 用途に適した素材選びをする
- 使用目的に合わせて糊を選ぶ
- 型抜きステッカーは細かいデザインは難しい
注意点1 用途に適した用紙選びをする
ステッカーを制作する際は、使用する環境や目的に合った素材選びが大切です。適切でない素材を選ばないと、ステッカーの寿命が短くなったり、見た目が損なわれたりする可能性があります。
例えば、紙素材はコストが比較的安い点が魅力ですが、耐水性に劣るため、屋外や湿気の多い場所での使用は適しません。
また、ラミネート加工を施さず印刷したステッカーは、雨や日光、湿気にさらされると文字やデザインが消えてしまう場合もあります。使用環境や目的に合った素材を選ぶことで、ステッカーの品質を維持し、長期間にわたり効果的に使用することが可能です。
注意点2 使用目的に合わせて糊を選ぶ
糊を選ぶ際も、使用目的に応じた選択が重要です。糊の種類によって効果が異なるため、目的に合った選択が必要となります。
例えば、一度貼って綺麗に剥がしたい場合には、跡を残さずに貼れる弱粘着タイプがおすすめです。一方でしっかりと固定したい場合は、長時間貼っていても剥がれにくい強粘着タイプがおすすめです。
ただし、糊は貼る場所や素材によってその効果を十分に発揮できない場合もあります。そのため、使用目的や環境に応じて、最適な糊選びが大切です。
糊選びや粘着ごとの特徴については以下の記事で詳しく解説しています。
注意点3 型抜きステッカーは細かいデザインは難しい
型抜きステッカーとは、通常四角のステッカーとは異なり、台紙を好みの形でカットされているものです。この特徴により、オリジナリティあふれるデザインが楽しめますが、一方で細かいデザインは向いていない場合があります。
特に、画数の多い漢字や小さな文字は対応できないこともあるため、注意しなければなりません。
細かいデザインを希望する場合は、印刷会社への相談がおすすめです。印刷会社に相談すると、型抜き加工に適した線幅への調整や、デザインの細かさ、用途に合わせた素材をアドバイスしてくれます。
発注時に整理しておくべきポイント
印刷会社に相談する前に最低限、次を決めておくとスムーズです。
- 配布目的(イベント/店頭/キャンペーン)
- 想定配布数
- 希望サイズ感
- デザインの方向性
- 納期
これだけでも見積の精度と提案の質が大きく変わります。
よくある失敗例(販促ステッカー)
- デザイン優先でコストが跳ね上がる
- 数量を決めずに相談してしまう
- サイズが大きすぎて配布しにくい
- 印刷で色が沈んでしまう
販促ステッカーは「作れる」より「配れる・使われる」設計が重要です。
まとめ|販促ステッカーは設計で差が出る
- ステッカーは宣伝・認知のためのツール
- デザイン再現性と質感が成果を左右する
- 数量とコストを前提に仕様を決める
- 発注前の整理で失敗は防げる
販促ステッカーは小さな印刷物ですが、ブランドの第一印象を担う存在です。