PANTONE(パントーン)はブランドカラー管理の世界標準
PANTONE(パントーン)は、世界共通で利用されている色指定規格および色見本帳のシステムです。色を番号で管理することで、デザイナー・発注者・印刷会社・製造拠点が異なっても、同じ色を再現できる共通言語として機能します。
企業にとってPANTONE指定は、単なるデザイン上のこだわりではなく、ブランドカラーの統一、品質管理、海外展開時の色ブレ防止といった実務上のリスク管理手段でもあります。
本記事では、法人発注の現場でPANTONEがなぜ使われるのか、どのような場面で必要なのか、発注時に何を確認すべきかまでを、印刷実務の視点で整理します。
PANTONEの基礎知識|世界共通の色指定システム
PANTONEとは、Pantone社が管理する色番号付きの色見本帳および色管理システムです。
例えば「PANTONE 485 C」のように番号で色を指定することで、誰が見ても同じ色を参照できる仕組みになっています。
主に以下のような場面で使用されます。
- ロゴカラーやブランドカラーの指定
- 特色インクによる印刷指定
- 海外工場や外注先との色仕様共有
CMYKの数値指定では、印刷方式・紙質・機械差によって色が変動しますが、PANTONE指定では完成色そのものを基準として管理できるため、再現性が高くなります。
なぜ企業ではPANTONE指定が重要なのか
企業案件において色のブレは、単なる見た目の違いでは済まされません。
- ブランドイメージの毀損
- クレーム・再製造によるコスト増
- 社内承認や取引先検収でのトラブル
特に以下のようなケースでは、PANTONE指定が強く推奨されます。
- ブランドロゴを複数媒体で展開する場合
- パッケージと販促物で色を統一したい場合
- 海外工場・外注印刷を利用する場合
- 長期的に同一色で増刷が発生する製品
色を「感覚」ではなく「仕様」として管理することが、BtoB取引では重要になります。
CMYK指定との違い
CMYKは、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色を混ぜて色を再現する方式です。
一般的なオンデマンド印刷やフルカラー印刷はCMYKが基本になります。
ただし、CMYKは以下の点で限界があります。
- 同じ数値でも仕上がりが変動する
- 印刷機・紙質で色が変わる
- 蛍光色・ビビッドカラーは再現できない
※CMYKとは
紙などの印刷物に色を表現する際に用いられる表現方法のこと。シアン・マゼンタ・イエロー・キープレート(ブラック)の色を重ねて表現することから、4色印刷ともいう。
DICとの違い
DICは日本国内で多く使われる色見本帳規格で、国内印刷に限定する場合はDIC指定でも問題ないケースがあります。一方で、以下はPANTONE指定の方が通用範囲が広くなります。
- 海外印刷
- 外資系ブランド案件
- 国際基準での色指定
PANTONEでしか再現できない色がある
PANTONE指定では、CMYKでは再現できない特色インクを使用できます。代表的な例として、下記のようなブランドロゴや商品パッケージで強い視認性を出したい場合に使用されます。
- デザイナーが設定した色
- 蛍光色
- 鮮やかな色
- 特殊な淡色
- メタリック系(別仕様)
企業のCIカラーがPANTONE指定されている場合、CMYK変換で代用すると色味が変わり、ブランド統一性が損なわれるリスクがあります。
企業でのPANTONE活用シーン
実際の業務では、次のような場面でPANTONE指定が活用されます。
- 商品ラベル・パッケージのブランドカラー管理
- 展示会用販促物の色統一
- 海外拠点との共通仕様書作成
- OEM製品のデザイン共通化
特に複数の印刷会社・製造拠点をまたぐプロジェクトでは、PANTONE指定が事実上の共通仕様書として機能します。当社でも、複数ロット・複数媒体にまたがるラベル制作案件では、PANTONE指定による色管理を前提とした設計を行うケースが多くあります。
PANTONE指定で発注する際の実務フロー
法人発注では、以下の手順で進めるのが一般的です。
- 色見本帳で色番号を確認する
- Coated(C)/Uncoated(U)の種別を指定する
- 印刷会社にPANTONE対応可否を事前確認する
- 見積依頼時・入稿時に番号を明記する
- 必要に応じて色校正を行う
色番号だけでなく、CかUかの指定が抜けると色トラブルの原因になります。必ずフル表記で指定することが重要です。
PANTONE指定の注意点とリスク管理
オンデマンド印刷では原則対応不可
多くのオンデマンド印刷機はCMYK専用のため、PANTONE指定での特色印刷は対応できないケースがほとんどです。特色指定が必要な場合は、凸版印刷やオフセット印刷などの対応設備が必要になります。
試作(色校正)を行わないと仕上がり保証はできない
PANTONE番号を指定しても、以下の見え方は変化する場合があります。
- 紙質
- 表面加工
- インク条件
特にパッケージ用途やブランドロゴでは、色校正の省略は推奨されません。初回製造時に確認工程を入れることで、後工程のリスクを大きく減らせます。
関連記事:シール印刷 色校正 | 色の認識トラブルを回避する大切な工程です
見本帳の版による色差に注意
PANTONE見本帳は定期的に改訂されており、古い見本帳と新しい見本帳で微妙に色味が異なる場合があります。複数社で見本帳を参照する場合は、同じ年度版を使用しているか確認することが重要です。
最善策は色見本を印刷会社に送り、色の認識を合わせる事です。
関連記事:パントーンの色は、見本帳によって若干違う事があります
PANTONE指定が適しているケース・不要なケース
PANTONE指定が向いている
- ブランドカラーが厳密に決まっている
- 海外生産・外注が絡む
- 長期継続製品
- 色ブレによる再製造リスクを避けたい
CMYK指定でも問題ない
- 単発の販促物
- 色精度よりコスト重視
- オンデマンド短納期案件
すべての案件でPANTONE指定が必要というわけではなく、目的とリスク許容度に応じた使い分けが重要です。
PANTONE(パントーン)を活用するメリット
パントーンのメリットは以下のとおりです。
- 色再現性が高く、増刷時も色ブレが起きにくい
- 海外拠点・外注先との仕様共有が容易
- ブランドガイドラインと連動した色管理が可能
- 特色インクにより視認性・差別化ができる
まとめ|PANTONEは色管理のための業務仕様
PANTONEは単なる色見本ではなく、企業が色品質を管理するための共通規格です。
- ブランドの一貫性を守る
- 発注ミスを防ぐ
- 海外展開にも対応できる
こうした目的がある場合、PANTONE指定は有効な選択肢となります。
一方で、コスト・納期・印刷方式とのバランスも考慮し、案件ごとに最適な色指定方法を選ぶことが、結果的に総コスト削減につながります。仕様設計や色指定で迷われる場合は、印刷方式・用途・数量を含めて、事前に印刷会社へ相談することをおすすめします。