シールの粘着力はあとから強くできる?
在庫のラベルが剥がれ始めると、「もう少し粘着が強ければ」と考えたくなります。ただ、完成したシールの粘着力は、あとから簡単に強くできるものではありません。粘着剤の種類、貼付面、温度、水分、油分、曲面の有無によって、同じシールでも剥がれやすさは変わります。
商品ラベルや工業用ラベルのように継続して使う法人案件が前提です。
完成したシールの粘着力をあとから強くするのは難しい
完成済みのシールは粘着剤そのものを交換できないので、粘着性能を根本から変える手段がありません。だから最初に切り分けるのは、剥がれの原因が貼り方にあるのか、粘着仕様にあるのかです。
貼付面の汚れ・水分・油分を落として貼り直せば、改善することはあります。一方で、貼付面や使用環境に粘着剤が合っていないときは、テープや両面テープで補強しても恒久対策になりません。
制作前に貼付対象と使用条件を確認し、その条件に合う粘着剤を選ぶ。商品ラベルの剥がれを防ぐ手順は、結局これになります。「強粘着に変えれば解決」とならないケースもあります。
いま使っているラベルが剥がれているなら、貼付対象・使用温度・水分や油分の有無・ラベルサイズ・数量を確認すると、原因を追いやすくなります。
シールに使われる粘着を種類別にまとめた記事もあります。
シールの粘着 | 御社に最適なシールの粘着タイプを一挙公開!
剥がれにくさを重視するときに検討する粘着タイプ
一般粘着で足りない場合の候補は、次の3系統です。貼付面と使用環境を見て絞ります。
- 強粘着・超強粘着
- トイシ用
- 特殊シリーズ
タイプ1 強粘着・超強粘着
一般粘着では保持力が足りない貼付対象に向けた候補です。あとで剥がす前提の用途(再剥離性が必要な用途)には向かない場合があります。
強粘着タイプで制作したシールの例です。
一般粘着でも、通常の使用環境なら十分な粘着力があります。負荷の大きい場面になって初めて、剥がれるおそれが出てきます。
その「負荷」が自社の製品に当てはまるかは、屋内か屋外かだけでは決まりません。貼付対象の材質、表面粗さ、曲面、温度、摩擦を見て選びます。
タイプ2 トイシ用
貼る面が凹凸だと、一般粘着では接着面積を確保しにくくなります。トイシ用(粗面用)は、そうした凹凸に追従しやすい粘着剤で、この条件の貼付対象で候補になります。
工業用途や粗面への貼付で検討されることがあります。ただ、貼付対象によって結果は変わり、「強い粘着なら必ず貼れる」とは言えません。必要に応じて貼付テストを行います。
屋外・粗面・薬品・高温などの条件は、工業用ラベルの選び方でも整理しています。
以下は、パウチ商品から剥がれないよう「トイシ用」という最も強いタイプを採用した制作事例です。
強いタイプを選んだ事例ではありますが、粘着力が強ければよいわけではありません。使用環境に合う粘着剤かどうかで決めます。
タイプ3 特殊シリーズ
特殊な環境向けに作られた専用の粘着剤には、次のものがあります。
- 冷蔵用
- 冷凍用
- ハム用
- 油面用
冷凍用と聞くと、常温用や冷蔵用より強い粘着だと思われがちですが、常にそうとは限りません。低温時の粘着特性に加えて、何℃で貼るのか、貼付後に何℃まで下がるのかを見て選びます。実際の流通温度帯に合わせる、ということです。
ハム・真空パック向けは、低温のほかに包装面の凹凸や柔軟性も条件に入ります。専用粘着が候補になりますが、包装材や貼付状態によって合うかどうかが変わるので、そこも確認します。
以下は当社で制作したハム用のラベルシールです。
貼付対象に油分が残る場合は、油面対応の粘着剤を検討します。ただし、油の量や材質で結果が変わるため、実際の貼付条件を確認します。
はがれない冷凍シールの特徴!通常シールとの違いや制作事例も紹介
シールが剥がれてしまう3つの原因
剥がれの原因は、粘着剤だけとは限りません。疑う場所は次の3つです。
- 剥がれやすい場所に貼り付けている
- 貼り付ける場所や接着面に汚れが付着している
- 用途に合った粘着タイプを選んでいない
原因1 剥がれやすい場所に貼り付けている
ザラザラした面や凹凸のある面では、粘着剤が貼付対象に十分に触れず、接着面積が小さくなります。曲面は別の問題で、ラベルの反発が強いと端から浮くことがあります。
貼る面を変えられないなら、粘着だけでなく、ラベルのサイズや素材の柔軟性まで手を入れることになります。
【プロが教える】シール・ラベルの貼り方!コツや効率化の方法も解説
原因2 貼り付ける場所や接着面に汚れが付着している
ホコリ、油分、水分、離型剤。こうしたものが貼付面に残っていると、粘着剤が本来の性能を出せないことがあります。
対象面を清掃し、十分に乾かしてから貼るのが基本です。製造ラインで貼る場合は、貼付時の容器温度と結露の有無も確認します。拭いた面が結露で濡れていれば、清掃しても乾いた状態で貼ったことにはなりません。
原因3 用途に合った粘着タイプを選んでいない
低温、結露、油分、粗面。標準粘着はこれらの条件が苦手で、専用粘着が必要になる場合があります。冷蔵・冷凍なら、貼付時の温度と、その後の保管温度を分けて考えます。
水がかかる用途では、粘着剤に加えて表面素材や印刷面の保護も見ます。剥がれを「粘着が弱い」と決めつけると、ここを見落とします。ラベル全体の仕様で考えてください。法人向けラベルで剥がれが出ている場合も、現行仕様と合わせて貼付対象と使用環境を確認すると、原因を切り分けやすくなります。
粘着仕様を個別に検討したい代表的な用途
標準的な粘着をそのまま使わず、使用条件から仕様を考えたい代表例は次のとおりです。
- 防水シール
- 屋外用シール
- 冷蔵・冷凍用シール
種類1 防水シール
防水というと、フィルム素材でなければならないと考えがちです。実際にはフィルムが候補になりやすい一方で、紙素材でも表面加工や使用条件によって対応できる場合があります。「防水=必ずフィルム」とは限りません。
素材だけでなく、貼付対象や水分のかかり方に合う粘着も選びます。
粘着剤には、単純に強力なタイプもあれば、強粘着で再剥離できるタイプもあります。防水が目的でも、あとで剥がす場面があるかどうかで選択肢は変わります。
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種類2 屋外用シール
屋外では、雨水のほかに紫外線、温度変化、摩擦、貼付対象の材質まで確認します。強粘着とフィルム素材が候補になることはありますが、条件によって仕様は変わります。
長期の屋外用途では、印刷面の保護や耐候性を別に確認します。使用期間と求める外観品質から、ラミネートなどの表面保護を検討します。
種類3 冷蔵・冷凍用シール
低温向けの粘着を検討するのは当然として、貼付時の温度にも目を向ける必要があります。保管温度だけを見て選ぶと、貼る工程で条件を外すことがあるためです。
低温では粘着剤が硬くなり、初期接着が出にくい場合があります。温度変化による結露も、剥がれの原因です。流通温度帯と貼付工程を確認してから、素材と粘着を選びます。
冷蔵・冷凍に限らず、流通環境が変われば合う粘着・素材も変わります。食品の流通温度帯に応じた選び方は、食品業界向けラベルの選び方で素材・加工とあわせて整理しています。
法人ラベルは「粘着力」ではなく使用条件から選ぶ
剥がれにくいラベルは、強い粘着剤を選んで作るものではありません。貼付対象と使用環境に合う粘着を選んで作ります。
まず確認したいのは、剥がれた場面の貼付条件です。貼るときの温度や容器の濡れ、貼ったあとの保管・使用環境が、いま使っているラベルの粘着仕様と合っていたか。次回生産で粘着仕様を見直す場合も、ここが出発点になります。仕様選定や見積の段階では、貼付対象、曲面、屋外使用、貼付方法、予定数量も合わせて確認します。
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