防水ラベルの作り方|法人向けに失敗しない素材・粘着の仕様
防水ラベルを発注したにもかかわらず、「水に濡れて剥がれる」「擦れて文字が消える」「冷蔵庫で浮いてくる」といったトラブルが起きることがあります。
こうした問題の多くは、印刷品質ではなく仕様設計の段階で発生しています。法人用途の防水ラベルでは、「水に強い」という一言では条件が足りません。また、法人用途では、ラベルは貼り替えを前提に設計されていません。そのため、防水性能だけでなく「剥がれないこと」「表示が劣化しないこと」まで含めた設計が必要になります。
この記事では、防水ラベルを業務用途で安定して使用するために、どの項目をどの順番で決めるべきかを整理します。
法人用途で防水ラベルが必要になる場面
法人向けラベルは、貼り替えや再施工が簡単にできないケースがほとんどです。
そのため、防水性能に加えて剥がれにくさ・耐久性・視認性の維持まで含めて考える必要があります。
代表的な使用シーンは次の通りです。
- 水回り製品のボトル・容器ラベル
- 冷蔵・冷凍流通商品の商品表示
- 屋外設置の設備表示・注意ラベル
- アルコール清拭が前提の業務用表示
- 物流工程で擦れやすい管理ラベル
これらの用途では、使用後に問題が発生しても簡単に貼り直すことができません。仕様ミスがそのまま品質トラブルや業務影響につながるため、事前に使用環境を整理したうえで仕様を決めることが重要です。
防水ラベルの性能は3要素で決まる
法人向け防水ラベルは、次の3つを分けて設計することで失敗を防げます。
- 素材:耐水性や耐久性のベースを決める
- 粘着:剥がれにくさや貼り付け条件を左右する
- 表面加工:ラミネートで擦れによる劣化を防ぐ
この3点を用途ごとに組み合わせることで、防水ラベルの実用性能が決まります。
「防水」の定義を整理する
実務では、「防水」という言葉が指す内容が曖昧なまま使われがちです。
法人用途では、次の3段階に分けて考える必要があります。
- 耐水
水が直接かかる場面を想定した性能で、短時間の水濡れに耐えることを指します。 - 耐湿
冷蔵・冷凍環境では結露が発生しやすく、耐水だけでは剥がれを防げないケースがあります。 - 耐候
屋外では紫外線や温度変化の影響を受けるため、素材と印刷方式の選定が重要になります。
どこまで求めるかによって、素材・粘着・加工の選択は大きく変わります。
素材の選び方(法人用途の定番)
ユポ(合成紙)
水回り用途で最も使われる定番素材です。
耐水性が高く、紙に近い質感を持ちながら寸法安定性にも優れています。
ユポは紙に近い質感を持ちながら、吸水しない特性があるため、水回り用途でも寸法変化が起きにくい素材です。
PETフィルム
透明ラベルや、耐久性を重視する用途に適しています。
耐水性・耐摩耗性に優れ、表示を長期間維持したい場合に有効です。
PETフィルムは耐久性に優れますが、容器素材によっては粘着剤との相性が結果を大きく左右します。
塩ビ
屋外用途や曲面貼りが必要なケースで選ばれる素材です。
追従性が高く、環境変化のある場所でも比較的安定します。
塩ビ素材は、柔軟性が高く、温度変化や曲面への追従性に優れているため、屋外用途や凹凸のある貼り付け面でも安定しやすい特徴があります。一方で、使用環境や掲示期間によっては、PETなど他素材の方が適するケースもあるため、用途を明確にしたうえで選定することが重要です。
紙素材 + ラミネート
コストを抑えたい短期用途向けの選択肢です。
ただし、結露や浸水が想定される環境では、防水性能に限界があります。
紙素材にラミネート加工を施すことで一定の耐水性は確保できますが、素材自体は吸水性を持つため、長期間の水濡れや結露環境では劣化が進行しやすい点に注意が必要です。コストを抑えたい短期用途や、水濡れが限定的な環境に向いた仕様と考えるのが現実的です。
粘着剤は最重要ポイント
防水ラベルのトラブルで最も多い原因は、素材ではなく粘着剤の選定ミスです。
- 標準粘着
屋内・常温・平滑面向け - 強粘着
剥がれ対策を重視する用途 - 低温対応粘着
冷蔵・冷凍環境では必須 - 再剥離
仮表示・期間限定用途向け
防水ラベルのトラブルで最も多い原因は、素材ではなく粘着剤の選定ミスです。
表面加工(ラミネート)の役割
法人用途では、水よりも擦れや清拭による劣化が問題になることが多くあります。
そのため、ラミネートは防水対策というより、耐久対策として考えるのが現実的です。
- グロスラミネート
発色を重視する販促用途向け - マットラミネート
指紋が目立ちにくく、業務用途向け
物流工程や定期清掃がある場合は、ラミネート前提で設計する方が安全です。
使用環境別に避けるべき仕様
実務でトラブルになりやすい組み合わせには傾向があります。
- 冷蔵用途 × 標準粘着
低温環境では粘着剤が硬化し、初期接着力が大きく低下します。 - 屋外用途 × 紙素材+ラミネート
低温環境では粘着剤が硬化し、初期接着力が大きく低下します。 - 清拭前提 × 表面加工なし
アルコールや洗剤による清拭を繰り返すと、表面保護がないラベルはインク層が直接摩耗し、表示が薄れたり消失したりするリスクがあります。 - PP容器 × 粘着未指定
一般的な粘着剤では十分な接着力が得られない場合が多いため、粘着仕様を明確にしないと剥がれやすくなります。
これらは、防水であっても剥がれや劣化が起きやすい組み合わせです。
発注時に最低限伝えるべき情報
防水ラベルの見積や仕様提案を正確に行うためには、次の情報が重要です。
- 使用環境(水回り・冷蔵冷凍・屋外など)
- 貼り付け対象の材質
- 希望素材(未定でも可)
- 粘着条件(低温・強粘着など)
- 表面加工の有無
- 数量・納期
これだけでも、仕様事故のリスクは大きく下げられます。
制作事例
こちらでは、実際に防水加工が施されたシールの例を紹介します。
制作事例1 エシカルビューティー株式会社|シャンプーボトル用ラベル
バスルームで使用するため、水に強いユポ80µ(溶剤強粘着)というフィルム素材を採用しています。耐水性・耐久性が高く、水周りで使い続けてもはがれる心配はまずありません。
またユポは、フィルムの中で最も安価というのと、高級感のあるマット調な質感が人気です。
制作事例2 しみず商店|商品用シール
先述の耐水性の高いユポ80μ(溶剤強粘着)というフィルム素材に更にマットラミネートを施しました。サラッとした触り心地に仕上がっています。
マットラミネートをする事で、防水だけでなく、インクの削れを防止しました。ラミネートにはグロスもありますが、ボトルがマットなので統一したいとのリクエストを頂きました。
防水ラベルまとめ
法人向けの防水ラベルは、水に強いかどうかではなく、使用環境に耐えられるかで判断します。防水ラベルで失敗しないためには、「どの環境で、どの期間、どの素材に貼るのか」を事前に整理することが最も重要です。