食品表示ラベルの完全ガイド
食品表示ラベルは、食品事業者にとって単なるパッケージ表示ではありません。食品表示法および食品表示基準に基づき、正確性・網羅性・視認性が厳格に求められる、法令対応そのものです。
表示内容に誤りや不足があった場合、行政指導や回収対応に発展する可能性があり、結果として 企業の信用、取引継続、ブランド価値に直接影響します。
本記事では、食品製造業・加工業・販売事業者向けに、食品表示ラベルの法令要件と、実務で失敗しないための設計・管理ポイントを体系的に解説します。
食品表示ラベルとは
食品表示法に基づく「義務表示」
食品表示ラベルとは、食品表示法および食品表示基準に基づき、消費者に対して食品の内容や安全性を正しく伝えるために表示が義務付けられた情報です。
表示の目的は次の3点に集約されます。
- 消費者が食品の内容を正しく理解できること
- 食品の安全性を確保すること
- 公正な商品選択を可能にすること
食品事業者は、製品の販売形態や加工区分ごとに定められた表示ルールを理解し、遵守する責任があります。
食品表示ラベルで必ず必要な表示項目
食品表示法(Food Labeling Standards)では、食品に以下の情報を表示することが義務付けられています。
| 記載内容 | 備考 |
| ①名称 | 商品名ではなく、一般的な名称を記入する |
| ②原材料名 | 使用した割合が高い順に記載する |
| ③原料原産地 | 加工食品の場合、主原料となる材料の原産地を明記する |
| ④添加物 | 使用量の多い順に、物質名を記載する 原材料と区別するために「/(スラッシュ)」や改行で区切る |
| ⑤アレルゲン | 特定原材料(症例数が多く重篤度が高い食品)を含む場合は、表示が義務付けられている ◾️特定原材料:義務表示(8品目) 卵・小麦・乳・えび・かに・落花生(ピーナッツ)・そば・くるみ ※くるみは2025年4月より表示が義務化される ◾️特定原材料に準ずるもの:推奨表示(20品目) 大豆・さけ・いか・あわび・いくら・ごま・さば・鶏肉・牛肉・豚肉・カシューナッツ・アーモンド・キウイ・オレンジ・バナナ・もも・りんご・やまいも・まつたけ・ゼラチン |
| ⑥内容量 | 「g」「枚」など、単位を明記する |
| ⑦消費期限 賞味期限 | 「年・月・日」の順で記載する ◾️消費期限 期限が過ぎると劣化が進み食べられなくなる食品に設定する ◾️賞味期限 劣化が進みにくい商品の「品質が変わらずにおいしく食べられる期間」を指す |
| ⑧保存方法 | 商品の特性に合わせて、開封前の保存方法を明記する |
| ⑨製造者等 | 表示内容に責任をもつ事業者の名前や住所を記載する 法人以外は代表者名が必要となる |
| ⑩栄養成分表示 | エネルギー(熱量)・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の表示が義務付けられている ※食品の種類に応じて表示項目は異なる |
※表示義務の詳細・解釈は食品の種類ごとに異なるため、個別ルールの確認も必要です。
原材料名・添加物表示の実務ポイント
原材料名の表示ルール
原材料は、使用重量の多い順に記載する必要があります。複合原材料を使用している場合は、構成要素を括弧内で明示します。
例:チョコレート(砂糖、カカオマス、ココアバター)
添加物の表示
添加物は原材料とは分けて表示し、用途名+物質名、または物質名のみで記載します。
例:膨張剤、酸化防止剤(ビタミンC)
実務上、原材料表と配合表の整合性チェックが不十分なままラベル作成を進めると、誤表示の原因になります。
アレルゲン表示
事業者が最も注意すべき表示項目
アレルゲン表示は、消費者の健康被害に直結するため、特に厳格な管理が求められます。
表示が義務付けられている特定原材料(8品目)
- 卵
- 乳
- 小麦
- えび
- かに
- 落花生
- そば
- くるみ
これらを使用している場合、必ず表示が必要です。
表示が推奨されている原材料
大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、りんご、ゼラチンなど。
事業者としては、「使用していない」だけでなく、製造ラインでの混入可能性(コンタミネーション)も含めた管理体制が求められます。
栄養成分表示
義務対象・必須項目・表示順序
栄養成分表示は、容器包装に入れられた加工食品および一般用添加物に対して義務付けられています。一方、包装されていない生鮮食品など、一部例外も存在します。
必須5項目と表示順序
以下の5項目を、この順序で表示します。
- エネルギー
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- 食塩相当量
単位(kcal、g)や表記方法も食品表示基準で定められており、独自フォーマットや省略表記は認められていません。栄養成分値の算出ミスや表示漏れは、行政指導につながりやすい項目です。
表示方法とレイアウト上の注意点
食品表示は、表示内容だけでなく、表示方法そのものも評価対象になります。
- 日本語での表示が必須
- 読みやすい文字サイズ
- 背景との十分なコントラスト
- 情報が隠れない配置
表示スペースが限られる場合でも、表示できないことを理由に義務表示を省略することは原則できません。
表示してはいけない表現
誤認を招く表示の禁止
食品表示基準では、下記のような消費者に誤認を与える表示を禁止しています。
- 根拠のない「無添加」「自然」「健康的」などの表現
- 実態以上に品質が優れているように見せる表現
- 健康効果を暗示する表現(機能性表示食品とは別枠)
マーケティング表現と法令表示は、明確に切り分ける必要があります。
輸入食品における食品表示ラベル
輸入食品であっても、日本国内で販売する場合は、日本の食品表示法・食品表示基準が適用されます。
- 海外パッケージに日本語ラベルを上貼りする対応が必要
- 原材料・アレルゲン・栄養成分表示は日本基準で再構成
- 原産国表示のルールも国内基準に従う
輸入食品は表示不備が指摘されやすいため、国内販売前のチェック体制が重要です。
製造者情報と製造所固有記号
原則として、製造者または販売者の氏名・住所の表示が必要です。
ただし、一定条件を満たす場合に限り、製造所固有記号の使用が認められています。
- 事前届出が必要
- 対応できる食品・販売形態に制限あり
- 問い合わせ先の明示が必須
利便性は高いものの、誤用はリスクとなるため注意が必要です。
食品表示ラベルの実務設計
失敗しないための社内管理ポイント
食品表示ラベルは、以下の流れで管理するのが理想です。
- 原材料・配合情報の確定
- 表示項目の洗い出し
- 法令基準との照合
- 社内での二重チェック
- 印刷用データ作成
- 最終校正・承認
特に重要なのは、ラベル作成を「デザイン工程」ではなく「品質管理工程」として扱うことです。
印刷会社に依頼する際の注意点
食品表示ラベルを外注する場合でも、表示内容の最終責任は食品事業者側にあります。
印刷会社に伝えるべき主な情報は次の通りです。
- 使用環境(冷蔵・冷凍・水濡れ・屋外)
- 確定済みの表示内容データ
- 表示エリアの制約
- 期限表示や可変印刷の方法
設計段階から専門知識を持つ印刷会社と連携することで、表示トラブルや作り直しリスクを大幅に減らすことができます。
よくあるトラブルとその原因
表示漏れ・誤記
- 原材料変更時のラベル更新漏れ
- アレルゲン表記の抜け
- 栄養成分計算の誤り
法改正への未対応
食品表示基準は定期的に改正されます。
過去の表示を流用し続けることはリスクになります。
食品表示ラベルは信頼構築の要素
食品表示は法令遵守のためだけのものではありません。
正確で整理された表示は、企業姿勢そのものを示す要素でもあります。
- 表示が整理されている
- 誤解を招かない
- 情報が不足していない
これらは、取引先・消費者双方の信頼につながります。
まとめ:食品事業者が取るべき対応
- 食品表示法・食品表示基準の理解
- 社内チェック体制の構築
- 表示内容の定期的な見直し
- 専門知識を持つ印刷会社との連携
食品表示ラベルは、作って終わりではなく、管理し続けるものです。
事業の信頼性を支える基盤として、適切な運用を行いましょう。