食品表示ラベルの実務ガイド|表示の収め方と法改正時の版・在庫の切り替え

食品ラベル 作り方

食品表示ラベルに何を書くかは、品質保証や商品開発の部署が配合表と基準を突き合わせて決める内容です。ただ、ラベルを刷る段階になると、決めることがもう少し残っています。決まった表示を何mmのラベルに載せるのか。表ラベルとまとめるのか、分けるのか。原材料や法令が変わったとき、刷り置きのラベルと版をどの時点で切り替えるのか。

この記事は食品表示基準を一から解説するものではありません。表示項目の要点は押さえつつ、それをラベルの仕様と改版の段取りにどう落とし込むかを、ラベルを印刷する側の視点で書いています。2025年3月の改正で栄養強化目的の添加物に表示義務が生じ、2026年4月にはカシューナッツが特定原材料に加わりました。手元の版を見直す理由が重なっている時期でもあります。

食品ラベルを確認する女性
写真:shutterstock
目次

食品表示ラベルに入れる項目と、ラベルに組むときに引っかかる点

一般用加工食品(容器包装に入れて消費者に販売する加工食品)で表示が求められる主な項目です。右の列には、表示内容が決まったあと、ラベルに組む段階や作り直す段階で問題になりやすい点を書きました。

項目表示のルールラベル制作で見落としやすい点
名称商品名ではなく、内容を表す一般的な名称商品名を大きく載せた表ラベルとは別に、一括表示欄にも名称が必要
原材料名使用重量の多い順。複合原材料は括弧内に構成要素を示す
例:チョコレート(砂糖、カカオマス、ココアバター)
配合比が変わると並び順が入れ替わり、版の修正対象になる
添加物原材料と区分し、重量の多い順。用途名の併記が必要なものがあるスラッシュや改行で区分するため行数が増えやすい。栄養強化目的の添加物も表示対象になった
原料原産地原則として重量割合が最も多い原材料の原産地(輸入品を除く国内製造の加工食品で2022年4月から義務。一部の食品群は個別ルール)仕入先や産地の切り替えで表示が変わる
アレルゲン特定原材料9品目は義務:えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生

特定原材料に準ずるもの20品目は推奨:アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
個別表示と一括表示のどちらにするかで組み方が変わる。容器が小さく他の項目を省略できる場合でも、アレルゲンは省略できない
内容量g、mL、個など単位を付ける品目違いでサイズ展開がある場合、内容量だけ違う版が増える
消費期限
賞味期限
どちらかを年月日の順で表示一括表示欄に書くことが困難な場合は、欄内にその記載箇所を示せば欄外に表示できる
保存方法開封前の保存方法商品の性格が変わらない限り動きにくい
食品関連事業者表示内容に責任を持つ者の氏名または名称と住所販売者の社名・住所の変更も改版のきっかけになる
製造所製造所の所在地と製造者の氏名または名称。条件付きで製造所固有記号を使える製造拠点の追加・変更で表示が変わる
栄養成分表示熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量をこの順で表示表組みにすると高さを取るため、ラベルの縦寸法を左右しやすい
参照元:早わかり食品表示ガイド(令和7年4月版・事業者向け)|消費者庁、加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(事業者用)(令和8年4月)|消費者庁、一般用加工食品の表示について|大阪府
※早わかり食品表示ガイド(令和7年4月版)は、カシューナッツが特定原材料に加わる前の版です。

表を縦に眺めると、動く行と動かない行がはっきり分かれます。名称や保存方法は商品の性格が変わらない限りそのままですが、原材料名、添加物、原料原産地、アレルゲン、製造所は、仕入先や配合、生産拠点の都合で変わります。ラベルの仕様を決めるときに、この動きやすい行がどこに入るかを意識しておくと、後の改版で直す範囲を小さくできます。

添加物の行は、2025年3月28日の食品表示基準の改正で変わりました。それまで表示が免除されていた、ビタミンやミネラルを強化する目的で使った添加物も表示が必要になっています。経過措置は2030年3月31日までで、業務用以外の加工食品は、この日までに製造・加工・輸入したものであれば改正前の表示のままで差し支えありません(これまでの食品表示基準の改正概要について|消費者庁、福岡市)。添加物欄の行が増えるので、今のラベルに余白がない商品では、文字を詰めるかサイズを変えるかの判断が先に来ます。

小さい容器で、削れる表示と削れない表示

「ラベルを小さくすれば、書かなくていい項目が増える」と受け取られることがありますが、省略の可否を決めるのはラベルの大きさではありません。表示可能面積がおおむね30cm²以下の容器になると、原材料名や添加物、内容量などを省略できるようになります。一方で、アレルゲン、期限、保存方法、名称、食品関連事業者などは、どれだけ容器が小さくても外せません。小さな個包装でもアレルゲンの表示が消えないのはこのためです。

8ポイント(表示可能面積がおおむね150cm²以下なら5.5ポイント)という下限も、基準になるのは容器の面積です。表示可能面積は、容器包装の表面積から包装の重なりなど判読できない部分を除いた面積で、ラベルの大きさではありません。ラベルだけを小さくしても、容器の表示可能面積が150cm²を超えていれば5.5ポイントは使えません。

では、容器は小さくないのに表示が入りきらないときはどうするか。文字を詰める前に見直す余地があるのが、アレルゲンの書き方です。原材料ごとに括弧で示す個別表示が原則で、一括表示は例外の扱いですが、消費者庁のQ&Aでも「表示面積に限りがあり、一括表示でないと表示が困難な場合」が例に挙がっています。個別表示と組み合わせることはできないので、どちらかに決める必要があります。どちらを採るかは品質保証の判断になるものの、ラベルの行数の見積もりはここで変わるため、サイズを決める前に方針が固まっていると話が早く進みます。

表示を1枚に収めるか、表ラベルと裏ラベルに分けるか

商品名やデザインを載せる表ラベルと、一括表示を載せる裏ラベル。これを1枚にまとめるか2枚に分けるかで、改版のときの手間はかなり違ってきます。

1枚にまとめれば貼る工程は1回で済み、表と裏の組み合わせを間違えることもありません。その代わり、原材料が1行変わっただけでも、写真や多色刷りを含むラベル全体を刷り直すことになります。表示が変わる見込みの少ない定番品なら、この形で困る場面はあまりないはずです。

分けた場合は、ちょうど逆の性格になります。フレーバー違いの商品が並ぶシリーズで、表ラベルのデザインを共通にし、裏ラベルだけを品目ごとに持つ形にすれば、表示が変わっても直すのは文字中心の裏ラベルだけです。ただし、貼り間違いのリスクが生まれます。表と裏が別の品目になっていれば、アレルゲンの表示がそのまま誤りになるからです。2枚に分けるなら、裏ラベルにも品名をはっきり入れるなど、貼る現場で取り違えない工夫も仕様の一部として考えることになります。

法改正と原材料変更で、食品表示ラベルの版と在庫をどう切り替えるか

表示が変わるきっかけは、法令の改正と、自社側の配合や仕入先の変更です。どちらも版を作り直すことに変わりはないのですが、使える時間がまったく違います。

一般用加工食品の経過措置は「製造した日」で見る

経過措置の期間中の改正のうち、多くの商品で表示の行数に関わるのは次の2つです。個別品目ごとの表示ルールや栄養素等表示基準値の改正にも経過措置があるので、該当する品目は別に確認してください。

改正の内容経過措置の期限ラベルで変わるところ
カシューナッツを特定原材料に追加(2026年4月1日施行)2028年3月31日(業務用以外の加工食品は、この日までに製造・加工・輸入したもの)カシューナッツを含む商品のアレルゲン表示
栄養強化目的で使用した添加物の表示義務化(2025年3月28日改正)2030年3月31日(業務用以外の加工食品は、この日までに製造・加工・輸入したもの)添加物欄の行数
参照元:食物アレルギー表示に関する情報|消費者庁、これまでの食品表示基準の改正概要について|消費者庁

一般用加工食品では、どちらの期限も製造・加工・輸入した日で区切られています(業務用加工食品と生鮮食品は販売した日で区切られます)。そのため逆算の起点は「新しい表示で最初に製造する日」です。その日までに旧版のラベルを使い切るのか、残りを処分するのかを決めれば、旧版を最後に発注する時期と数量もそこから決まります。発注サイクルを変えずに旧版を追加すると、切り替えの直前に在庫が残ります。経過措置の期間中でも新しい表示に切り替えることはできるので、期限まで待つ事情がなければ、次の定期発注で版を替えてしまう方が在庫の読みは単純です。

両方の改正に該当する商品があれば、2回に分けて改版するより、早い方の期限に合わせて一度に直した方が、版の作り直しも社内の校正も1回で済みます。

もう一つ、先の話として、食品表示の一部を2次元コードなどのデジタルツールで伝える方法が消費者庁で検討されており、2025年12月には検討分科会の取りまとめが公表されています(食品表示へのデジタルツール活用検討分科会|消費者庁)。ただ、容器包装にどの項目を残すのか、いつから使えるのかは、2026年9月時点では制度としてまだ決まっていません。それを見越してラベルを縮める段階ではなく、今の基準どおりに表示する前提で版を計画するのが現実的です。

原材料や産地の変更には猶予がない

自社の都合で表示が変わる場合、経過措置のような猶予はありません。配合を変えた製品には、その製品を製造した時点から新しい表示が必要です。仕入先が変わって原料原産地が変わる、アレルゲンを含む原料に切り替わる、製造所を追加する。いずれも、製造の切り替え日とラベルの切り替え日を同じ日に揃えます。製造所固有記号を使う場合、記号を使えるのは原則として同じ製品を2つ以上の製造所で製造する場合に限られ、消費者庁への届出(有効期間5年)と、問い合わせ先などの表示が必要です。製造所を増やすときは、届出とラベルの準備が並行して動きます。

こうした変更が起こりやすい商品ほど、ラベルを一度に何か月分発注するかが効いてきます。まとめて刷れば1枚あたりの単価は下がりますが、変更が入った時点で残りは使えなくなります。原料の切り替えが予定されている、仕入先が複数あって産地が動きやすい、といった商品は、単価よりも在庫の回転を優先して発注量を決めた方が、結果として無駄が少なくなります。

旧版と新版を現場で混ぜないために

改版の直後は、倉庫に旧版と新版のラベルが一緒に置かれる時期があります。改版の内容によっては、違うのが原材料欄の数文字だけということもあり、見た目ではほとんど区別がつきません。表示内容の読み比べで見分けるのは現実的ではないので、ラベルの隅に版を識別する管理番号を小さく入れる、発注書にもその番号を書く、といった形で目で追える手がかりを残しておくと、取り違えを防ぎやすくなります。

印刷する側の版については、当社では改版時に旧版を確認したうえで廃棄しています。費用の面では、同じデザイン・サイズ・仕様で、版・型の保管期間内であれば、原則として再注文時の版代・型代はかかりません。保管期間は最終発注日から3年間です。3年以上経過した場合や仕様を変更する場合は、別途費用が発生します。保管期間内でも、劣化・破損などで再制作が必要になる場合があります。一方、デザインが変わる場合は新規制作の扱いになるので、原材料欄の1行だけを直す改版でも、版をどこまで作り直すかを見積もりの段階で確認してください。

チェックリストを確認する男性

印刷会社に渡す情報と、当社が引き受ける範囲

当社では、各種法令に基づいた表示要件を踏まえた仕様の提案と、決まった表示内容のレイアウト制作に対応しています。輸出向けの商品であれば、輸出先の国・地域の表示規制に応じた仕様提案も可能です。表示内容そのものは、支給いただいた原稿をもとに文字サイズや行間、余白を確認してレイアウトに組みますが、法令に適合しているかの審査・保証はしていないため、最終判断は発注される側でお願いしています。そのうえで、相談の段階で次の情報がそろっていれば、サイズや素材、版の分け方まで一度に検討できます。

  • 確定した表示原稿(配合表と照合済みのもの)
  • 貼る容器の材質・形状と、ラベルを貼る面の寸法
  • 保管・流通の温度帯と、結露や水濡れの有無(素材と粘着剤の選び方がここで変わります。冷凍・冷蔵の商品は冷凍環境で使うラベルの選び方で詳しく扱っています)
  • 同じ仕様で展開するアイテム数と、表示変更の予定
  • ラベルに入れるコードの種類(JAN、QRコード、CODE39、CODE128など)

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